ブルーベリーにとって3月は花芽が大きくなったり、根が伸長したりと成長を始める時期です。
気温も上昇し温かくなってくるのですが、冬の乾燥した空気は残っていますので、3月ごろからは水やりを毎日行うようにします。
ただ雨も多い時期ですので、1日雨の降った日などの翌日は、土の状態をよく確認して判断してください。
3月に行うブルーベリーの管理としては、成長するために必要な栄養を与える施肥(せひ)の時期です。
ここで与える肥料が新芽を出したり開花をする力となるので、とても大切な時期となります。
ブルーベリーに使用する肥料・窒素について
ブルーベリーに与える肥料ですが、他の植物などで普段使っている化成肥料は使わないほうが良いです。
これは化成肥料に含まれる窒素とブルーベリーが好む窒素に違いがあることや、ブルーベリーを栽培する土壌に関係しているのですが、話が少し難しくなります。
なるべくわかりやすく説明したいと思いますので、ブルーベリー栽培を行う方はぜひ知っておいてください。
一般的な化成肥料に含まれる窒素は「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」という窒素になります。
一方、ブルーベリーが好む窒素は「アンモニア態窒素」という窒素です。
まずこの段階で違う窒素が必要なんだ、という程度にとらえてください。
このブルーベリーが好む「アンモニア態窒素」は、土に混ぜるとやがて「硝酸態窒素」に変化し、多くの植物はこの変化後の硝酸態窒素の状態で養分を取り込みます。
このことから一般的な肥料である化成肥料は、即効性を高めるため、すでに変化した状態の硝酸態窒素を含んでいます。
よって化成肥料にはブルーベリーに必要な窒素が入っていないということになるので、使用しない方がよいということになります。
さらに、植物や野菜が硝酸態窒素を吸収した後はアルカリ性に変化するという特性があるので、土壌がアルカリ性に寄ります。
ブルーベリーを育てるためには酸性の土が必要でしたよね。
ですからアルカリ性になってしまう硝酸態窒素は、ブルーベリーには使えないということになります。
ここまでの話しをまとめると、
・化成肥料にはブルーベリーに適したアンモニア態窒素が入っていない
・硝酸態窒素は植物が吸収した後はアルカリ性になる
ということになります。
でもここで疑問が。
ブルーベリーにアンモニア態窒素を与えても、やがて硝酸態窒素に変化してしまうなら意味が無いのではないのか?と。
私も最初は疑問をもちましたが、原理を知れば納得。
ブルーベリーはアンモニア態窒素の状態で窒素分を吸収するので、硝酸態窒素に変化する心配はない。
これが解答です。
簡単でしたね。
さらにアンモニア態窒素が硝酸態窒素に変化する時間は緩やかで、かつ酸性の土の中では変化もしにくいという特徴があります。
ブルーベリーを育てる土は酸性ですから、硝酸態窒素に変化するまでには相当の時間がかかるということになります。
よってアンモニア態窒素が入った肥料を使えば、ブルーベリーは養分を吸収しやすく、かつ土壌も酸性を維持することができるということです。
では、実際にブルーベリー専用肥料にはどんな窒素が入っているか確認してみましょう。
しっかりと「アンモニア性窒素」という明記がありますね。
これらのことから、ブルーベリーには一般の野菜や植物に使用する即効性化成肥料ではなく、窒素分がアンモニアと書かれた肥料を使う必要があるのです。
ブルーベリーに使われる肥料
ブルーベリーによく使われる肥料としては、プロトリーフの肥料が有名です。
ブルーベリー専用の有機肥料なので、間違いようがありませんね。
品質はプロトリーフが良いのですが、ホームセンターなどにもブルーベリーの肥料というものが売られていますので、そちらを使えば問題ありません。
肥料の撒き方 3月の春肥
それでは肥料の撒き方・施肥の仕方をご紹介します。
肥料は根元に撒くのではなく、ブルーベリーの樹から20~30cm離れた根の先端がありそうな場所に10~20グラム撒きます。
だいたい片手に軽く一握りくらいです。
ブルーベリーは水やりの回数が多いので、根元あたりに苔が生えることがあります。
苔が生えて表面の土が固くなっているような場合は、うまく肥料が溶けださないので、軽く取り除いて土を軟らかくしてから肥料をまきましょう。
肥料をまいた後は表面の土を軽くまぜておくと効果的です。
ブルーベリーは浅い場所に根がありますから、根を触らないように気を付けましょう。
これでブルーベリーの3月の施肥(春肥)は完了です。
次回は果実を大きくするために5月ごろ施肥を行います。